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宮木あや子『雨の塔』息のつまる閉塞感の中での自由

雨の塔,感想,レビュー

あるいは、自由の中の閉じこもった世界。

『雨の塔』
著/宮木あや子(みやぎあやこ)
装画/鳩山郁子
出版/集英社

あらすじ

その岬には資産家の娘だけが入れる全寮制の女子大があった。衣服と食べ物は好きなだけ手に入るが、情報と自由は与えられない。そんな陸の孤島で暮らす4人の少女――高校で同性と心中未遂を起こした矢咲、母親に捨てられた小津、妾腹の子である三島、母親のいない都岡。孤独な魂は互いに惹かれあい、嫉妬と執着がそれぞれの運命を狂わせてゆく。

百合濃度

この作品はこんな人にオススメ

・閉じこもった世界観に浸りたい
・舞台が好き
・切ないストーリーが好き

胸苦しいほど切なく繊細な、少女たちの物語。

『雨の塔』はこんな人にオススメ

閉じこもった世界観に浸りたい

オレンジ色のグミベア、フランスのシャンプー、ラプンチェルの塔、さくらんぼのシール…。

出てくる小物やモチーフはどれもキラキラしているのに、心は晴れない。

物語全体を通してつめたい雨が降り続けているような、閉塞感があります。

舞台が好き

これは完全に管理人の主観なのですが、演劇にも合う世界観です。
実際に2021年に舞台化されています。

少女文學演劇「雨の塔」公式サイト


※登場人物のイメージをかためたくない方は後から見てください。
 すばらしいキャスティングだと思います。観たかった…。

切ないストーリーが好き

4人の女の子たちが選ぶ未来と決められた道。
資産家の娘であるがゆえに、思うように動けない。

自分の置かれた立場を理解しながらも、
感情まではあきらめきれない彼女たちの選択を見届けてほしいです。


『雨の塔』感想&好きなポイント

この雰囲気、とても好きです…。
読後感は正直、そんなに良くないのですが、そこが良い、と思わせられる世界観…。

遠慮や遠回りをせずに、すなおに自分の気持ちを伝えられたなら
もっと違う道もあったのかもしれないけど、
それができないからここに居る彼女たちがいとおしいです。

このブログを読んで気になった方はぜひチェックしてみてください。刺さります。