王谷晶『完璧じゃない、あたしたち』極彩色の百合の海におぼれてしまう
yuyakoyu
百合読書
所有と喪失、そして存続を描いた短編集。
『号泣する準備はできていた』
著/江國香織(えくにかおり)
装画/植田真
出版/新潮文庫
濃密な恋がそこなわれていく悲しみを描く表題作のほか、17歳のほろ苦い初デートの思い出を綴った「じゃこじゃこのビスケット」など全12篇。
号泣するほどの悲しみが不意におとずれても、きっと大丈夫、切り抜けられる……。
そう囁いてくれる直木賞受賞短篇集。
百合濃度[jinstar5.0 color=”#ffc32c” size=”16px”]※該当の作品のみ
・百合以外のお話も読みたい
・大人百合が好き
・幸せそうなふたりを見たい
私たちは「行き止まり」にいる。
表題作「号泣する準備はできていた」は百合ではありません。
12編のうち、百合は1つだけです。
この短編集、ぜんぶで12編のお話が入っています。
その中で百合は1つだけです。
なので、百合はもちろん
いろいろなジャンルのお話を読みたいな~という方にオススメ。
思わず口に出したくなるようなフレーズが多くて
読みごたえバツグンです。
働く大人の百合です。
仕事から帰ってきた恋人と話すというだけの日常の中に
とめどない愛が溢れています。
主人公が不満をもらすシーンがあります。
そのあとのふたりのやり取りが
とても愛おしい。
読み終わったあと幸せな気持ちに浸れます。
ただただこのふたりが幸せであってほしい。
そう思えるお話でした。
なんだろう、幸せなんだけど、ちょっぴり寂寥感もあって…。
それはおそらく、同性婚が認められない現状への
疑問、不満につながるからだろうなと感じます。
彼女たちの「行き止まり」が否定やマイナスの意味でなく、
幸せの頂点であることを願わずにはいられません。
表題作「号泣する準備はできていた」は百合ではありません。
12編のうち、百合は1つだけです。