『老虎残夢』湖上の楼閣で燃え上がる復讐と恋
ありそうでなかった「中華ミステリ×百合」。
百合濃度
『老虎残夢』
著/桃野雑派(もものざっぱ)
装画/喜国雅彦
出版/講談社
私は愛されていたのだろうか?
問うべき師が息絶えたのは、圧倒的な密室だった。
碧い目をした武術の達人、梁泰隆。その弟子で、決して癒えぬ傷をもつ蒼紫苑。
料理上手な泰隆の養女、梁恋華。
三人慎ましく暮らしていければ、幸せだったのに。
雪の降る夜、その平穏な暮らしは打ち破られた。
・強い女の子が好き
・歴史ものはちょっとニガテ
・ミステリーが好き
これは疑念と愛と、復讐の物語。
『老虎残夢』はこんな人にオススメ
強い女の子が好き
主人公の紫苑は武術の使い手です。
所作の一つひとつが洗練されていることが
文章を通じて伝わってきて、とてもかっこいいです!
男性の戦いっぷりには力強さを感じる一方、
紫苑のほか、女性の戦闘シーンには凄みを感じます。
また、紫苑には愛し合う女性、恋華がいます。
武術を嗜んでいない恋華にはまたちがった強さがあり、魅力的です。
歴史ものはちょっとニガテ
ページを開いてすぐの文章に面食らってしまったという方、大丈夫です。
中国の武侠の物語ではありますが、歴史がわからなくても楽しめます。
むしろ歴史にすこし興味が沸くので、
苦手意識がある方にもぜひ読んでみてほしい!
読み終わる頃には冒頭の文章もなんとなく意味を感じ取れるようになりますよ。
ミステリーが好き
紫苑の師父が亡くなっていたのは湖上の楼閣。
舟がなければ普通の人間はたどり着けない場所。
では師父を殺すことができたのはもしかして…。
疑念と愛と復讐に身を焦がす紫苑。
謎が解けたとき、紫苑は、恋華は、どうなっているのか。
ぜひ見届けてください。
『老虎残夢』感想&好きなポイント
私は歴史がニガテです…。
なぜって教科書では人間味をうまく想像できなくて、暗記科目になってしまうから。
でも、こうして物語の中に組み込まれると、
人物像が浮かび上がってくるので、興味が沸きます。
『老虎残夢』は、思いきってチャレンジしてよかったな、と思う作品のひとつです。
とにかく紫苑と恋華がかわいくてかわいくて…。
だからこそ、しあわせなシーンとの落差がとても辛かったです。
紫苑と恋華のほかに、もうひとり女性が登場します。
私はこの人がめちゃめちゃ好きです!
姉御と呼びたくなる女性が好きな方はきっと好き!
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