サラ・クロッサン『わたしの全てのわたしたち』ただ一緒に居る、それだけのこと
わたしとあなたは、ふたりでひとり。
『わたしの全てのわたしたち』
著/サラ・クロッサン
訳/最果タヒ、金原瑞人
出版/ハーパーコリンズ・ジャパン
[box04 title=”あらすじ”]
グレースとティッピは16歳――腰から下がつながった結合双生児だ。
普通とはちがう幸せな日常、初めての学校生活、友情、恋、そして別れが、
一人語りの詩によって、みずみずしく、せつなく、描かれる。
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百合濃度[jinstar3.0 color=”#ffc32c” size=”16px”]
[box04 title=”この作品はこんな人にオススメ”]
・本を読む時間がなかなかとれない
・結合双生児を知りたい
・瑞々しい文章が読みたい
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ふたりはいつでも一緒。
たとえ、好きな人が隣に居るときでも。
『わたしの全てのわたしたち』はこんな人にオススメ
本を読む時間がなかなかとれない
この作品は詩のかたちで綴られています。
1つ1つのお話が短く、1ページで終わるものもあります。
なので、「ここまで読もう」という区切りがつけやすいです。
スキマ時間の5分だけでもこの本を開ければ、
少しずつお話を読み進めることができます。
結合双生児を知りたい
マイノリティな存在に興味を持つことって、いけないことではないと思います。
私は「腰から下が繋がっているってどういうことだろう?」という興味で手に取りました。
体の一部がつながった結合双生児は実在して、
作者は多くの文献を調べたうえでこの作品を書いています。
ティッピとグレースの思いはもちろん、
本文中でも実在する結合双生児に触れるので、
彼(彼女)たちがどんな思いでどんな生涯を過ごしたのか知ることができます。
瑞々しい文章が読みたい
この本はすべて結合双生児のグレースの独白で話が進みます。
ティッピとグレースは学校に行き、
友人ができ、
好きな人もできます。
同じ年頃の女の子が送る青春を、
ティッピとグレースも送ります。
他の女の子とちがうのは、ふたりがいつでも一緒だということ。
家族への思い、友人、好きな人、
そしてティッピへの想いが瑞々しい詩で綴られます。
『わたしの全てのわたしたち』感想&好きなポイント
グレースの思考をそのまま感じるかのような文体で、
とても自然に読むことができました。
きちんと物語として進んでいくので、
詩は読んだことがないな、ちょっとニガテかも…と思っている方にもオススメできます。
また、私は結合双生児というだけで、不便な点ばかりを考えて
ふたりを可哀想だと思いながら読み始めました。
でも、それは大きな間違いでした。
ティッピとグレースのお互いを想う気持ち、
一緒に居ることの尊さに心を打たれます。
ちなみにグレースが恋する相手は男の子です。
百合じゃないよ!と思う方もいると思いますが、物語が終盤にいくにつれ、
私がこのブログで紹介した理由が伝わるかなぁと思います。
『わたしの全てのわたしたち』補足情報
美しい装丁
写真にうまく写らないのですが、
色合いの異なる2種類の紙が交互に入っています。
遊び紙のハッとするような明るい色もとてもきれいで、手に取る度に眺めてしまいます。
紙の本ならではの美しさですね。
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