宮田眞砂『夢の国から目覚めても』百合は誰のためのものなのか
あなたが百合に求めるものは、なんですか。
『夢の国から目覚めても』
著/宮田眞砂(みやたまさご)
イラスト/切符
出版/星海社
[box04 title=”あらすじ”]
百合同人漫画の執筆に没頭する有希は、サークル「ゆゆゆり」の相方・由香に
「好き」という言葉を伝えられずにいた。
レズビアンの有希とヘテロセクシュアルの由香。
有希がその想いを隠すことで成立した、脆い関係の行き先はーーーー。
百合小説の、百合小説による、百合小説のための新たなる金字塔!
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百合濃度[jinstar5.0 color=”#ffc32c” size=”16px”]
[box04 title=”この作品はこんな人にオススメ”]
・百合が好き
・同人誌が好き
・人に優しくありたい方
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すべての百合好きに読んでほしい。
『夢の国から目覚めても』はこんな人にオススメ
百合が好き
この作品で語られるのは、百合の定義がうんぬんというお話ではありません。
もっともっと深いところに踏み込んでいます。
- 百合は誰のためのものなのか?
- 百合に何を求めているのか?
創作としての百合と、現実にある女性同士の恋愛。
そのふたつの狭間で思い悩む姿がえがかれます。
自分にとって百合とは何なのか、必ず考えるきっかけになります。
同人誌が好き
この小説に出てくる登場人物は、ほぼ全員が百合に情熱を燃やす同人作家です。
即売会の様子も忠実にえがかれているので、
経験したことのある方はその臨場感がよみがえるし、
知らない方は同人誌を創る人たちの熱量に圧倒されます。
人に優しくありたい方
とても悩んだのですが、
百合を通して視座を上げることができる作品だと感じたので
「人に優しくありたい方」という表現におちつきました。
思考の自由、表現の自由はあるけれど、
せめて一緒に百合を語る、
目の前の相手だけでも気遣えるように。
お互いの在り方を尊重できるようになれたらと思います。
『夢の国から目覚めても』感想&好きなポイント
ものすごい吸引力でした。
特にレズビアンである有希が抱いた
「どうして男性が、ヘテロセクシュアルが、百合を描くの?」
という疑問は思いつきもしませんでした…。
百合を好きであることに少し自信を失ってしまうくらいには衝撃で、
でも考えて考えてやっぱり私は百合が好きだと思えました。
現実に女性同士で生きていくことの怖さもしっかり書かれているので、
百合が好きであれば好きであるほど刺さるし、思い悩みます。
『夢の国から目覚めても』補足情報
スピン(しおりとして使うヒモ)が可愛いです!
あと紙の柔らかさがちょうどよくて、手に馴染むので
電子書籍派じゃない方はぜひ紙の本で読んでみてください。
https://www.yurinovel.com/release/