綾加奈『子猫を拾う、子猫の癖に』そうして私は痛みを知る
yuyakoyu
百合読書
世界が終わる。でも、あなたには会いたくなかった。
『終末はあなたに会いたくない』
著作/さちはら一紗
イラスト/緋狩
出版/Kindle
もうすぐ大きな隕石が落ちて世界が終わる。
やることもないので仕方なく、酒に溺れていた『私』のもとに予期せぬ客人が現れた。
それは高校時代の後輩で──私が今、もっとも会いたくない女だった。
百合濃度[jinstar5.0 color=”#ffc32c” size=”16px”]
・すなおになれない
・先輩後輩の関係が好き
・感情を揺さぶられたい
この関係に、名前をつけることはできますか。
自分の本当の気持ちをみない、ださない、気付かないフリをする。
そうしてちょっと見栄をはったり、とぼけたりする。
思い当たる節がある方は、「せんぱい」に親しみをもつかもしれません。
これは「せんぱい」と、「後輩」のお話です。
学校の屋上で出会ったふたりが、世界の終わりを前にいっしょに過ごす。
卒業して、会わなくなっても、年齢差があるからには
「せんぱい」はずっと「せんぱい」で、「後輩」は「後輩」。
そんな当たり前の摂理にからまるふたりの感情に惹かれます。
「せんぱい」はどうして後輩に会いたくなかったのか。
後輩はどうして「せんぱい」に会いに行ったのか。
その理由がわかったとき、心をわしづかみにされます。
このフレーズ好きだ~!っていう箇所がいくつも出てきて、
Kindleのマーカー機能が大活躍でした。
あとから何度も読み返したくなるような素敵な表現がちりばめられた作品です。
普段はどこか空をつかむような「せんぱい」の言動に
本音が見え隠れする瞬間が最高に好きです。
終末百合がお好きな方はぜひ、ふたりの終末を見届けてください。